二枚貝説(約200,000字)をKindle本として出版中

「やまなし」祈りの姿 作者: 小野真路 出版社/メーカー: ちどりや洋品店 発売日: 2016/07/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 内容紹介 二枚貝説です。読者としては、趣味からアカデミックレベルの宮沢賢治研究者を想定しています。なるべく…

映画「Love Letter」の四つの謎

“ご存知ですかー”って叫んでしまいたい。今、GAYO!で岩井俊二監督作品「Love Letter」が無料で見れます。 天国に出した手紙。来るはずのない返事。手紙の謎はストーリーとともに解き明かされます。しかし、エピソードの中に埋め込まれたまま解き明かされない…

シン・ゴジラと「春と修羅」

見て参りました。日曜の14時30分の回でしたが、ほぼ、満員でした。さて、冒頭の「春と修羅」の意味とは(笑) あれは、「春と修羅」でなくてもいいのです。映画の中に出てきた「春と修羅」の本は真新しかったですね。つまり、大正13年(92年前)に刊…

ヒドリとは忌日のことか

ヒドリノトキハナミダヲナガシ ヒドリはヒデリ(日照り)の誤記であろうというのが通説です。しかし、その通説には違和感があります。日照りに涙(水)の対応ではテクニカルすぎるように感じます。ここの「ナミダヲナガシ」には賢治の生の情感があふれ出てい…

南十字ε星 宮崎駿2001年の予言

真の芸術家は、時にその作品中でやがて到来する未来を予言することがある、というのを聞いたことがあります。 「千と千尋の神隠し」(2001年7月公開)の釜じいの天丼を思い出してください。あれはエビフライ丼だという声があることは承知しています。が…

宮崎駿作品「風立ちぬ」の振り返り

第五作品を検討する前に、宮崎駿作品「風立ちぬ」の振り返りをしておきます。 ベアトリーチェ問題。宮崎監督は引退会見(2013.9.6)でラストシーンに言及し、あの草原は実は煉獄で、菜穂子はベアトリーチェだから堀越二郎もすでに死んでいると発言さ…

「春と修羅」 永遠の祈り

「春と修羅」には復刻版というのが存在します。昭和47年6月刊行の「精選 名著復刻全集 近代文学館」シリーズの一冊です。オリジナルは時折宮沢賢治展で展示されることがあり目にすることもありますが、いかんせん稀覯本の類であり古書の素人には手に取る…

トウモコロシとオチャマタクシ

妻が見つけました。壺井栄「孤児ミギー」という作品内の一節です 「あ、風がいるよ、たくさんの風がいるよ、おかあちゃん。」 ミギーは畑のほうを見ながらいいます。 「風がいる?どこに。」 お母さんがわざとたずねると、 「あすこにいるじゃねぇか。トウモ…

NHK朝ドラ「ごちそうさま」最終週

NHK朝ドラ「ごちそうさま」最終週で高校野球がGHQの民間情報教育局の横槍で中止になるというエピソードが紹介されました。民間情報教育局 CIE(Civil Information and Educational Section)は、宮沢賢治関連でも燦然たるエピソードを残しています。 石森延…

毛利志生子 風の王国 暁の歌

※宮崎駿「風立ちぬ」にひき続き、宮沢賢治は関係ありません。 感想 書店で第27巻(あえて最終巻とは呼びたくない)の帯の完結の文字が眼に入ったとき、思わず涙ぐんでしまった。そして内容はというと、涙、涙、涙、涙だ。第27巻は透明な涙のインクで書かれて…

宮崎駿 「風立ちぬ」

宮崎駿らしさにあふれた作品。十一作目にして、きれいさっぱり微塵も宮沢賢治を感じさせない作品。もはや匂いさえない。風が吹くとき木々はざわめき枝を震わす。時代の風が吹くとき人の心もまた不安に震える。風や煙という、きわめて使い古され、かつ、オー…

とめはね!、西行、二枚貝説

とめはね! 週刊スピリッツ隔週連載の河合克敏「とめはねっ! 鈴里高校書道部」、高校書道部の話です。ウンチク物のマンガはだいたい面白いのですが、この作品は書道がモチーフになっていますので想定読者層の広さから、ちょっと毛色が違った作品になってい…

掘り出し物

本日、BOOKOFFで久々の掘り出し物でした。生え抜きの女性社長が更迭されてからというもの、つまらないBOOKOFFになってしまったなぁと思い、このところ、数ヶ月に一度くらいしか足を向けなくなっていました。で、見つけたのが 岩波文庫「山家集」と大佛次郎 …

中二病でも恋がしたい Episode VII「追憶の・・・ 楽園喪失」

「けいおん!」のような京アニ得意のライト・コメディと思って暇つぶし程度に見ていたのですが、思わぬ深いイメージに引きこまれました。 六花の中二病の始まり。父の死を知らされた日。夜の海の向こう、暗い海と夜空の境界に見た光の連なり。六花は、父と自…

ピンドラ再考 愛してる

愛してる 翼 愛してる リンゴは宇宙 愛してる 翼 ペンギン達の体の横にあるもの、じつは、あれは手ではなく翼。かなり器用にものを掴んだりしているが、構造上、翼以外の何物でもありえない。“翼”がキーワードである、と仮定してみると何か見つかるだろうか。…

ピンドラ再考 桃華の神様とは

桃華の神様とは ペンギンはペアとなる人間の性格を写す ペンギンはペアとなる人間のダメージの大部分を引き受ける。 ペンギンはペアとなる人間のお願いを聞く ペンギンは特別な存在の人間との間で明瞭な意思疎通ができる。 ペンギンは運命の乗り換えができる…

ピンドラ再考 あなたたちのピングドラム

あなたたちのピングドラム 運命=決定論的未来 ゆで卵のピングドラム 陽毬のピングドラム 冠葉と晶馬のピングドラム 多蕗のピングドラム 桃華のピングドラム ゆりのピングドラム ヒカリとヒバリのピングドラム 連雀のピングドラム 子供ブロイラー TSMはなぜ…

アニメ 輪るピングドラム 第24話(終)

ピングドラムとは 冠葉から渡された半分のリンゴの方ではなく、渡されなかった半分のリンゴの方。陽毬の手から消えていった半分のリンゴの方。それがピングドラム。 ピングドラムとは、”選ばれなかった未来”、あるいは、”選ばなかった未来”のこと。子供ブロ…

アニメ 輪るピングドラム 第23話

眞悧と桃果の出会い 二人の出会いは空の孔分室ではなかった。空の孔分室での桃果の残像が真実なら、電車の中での名乗りは矛盾。電車の中での名乗りが出会いなら、空の孔分室での桃果の残像は矛盾。 昔、2000年にNHK「深く潜れ」というドラマがあった。ピンド…

アニメ 輪るピングドラム 第22話

陽毬の死 眞悧「もうあの薬は効かないんだ。(じゃあ陽毬は)死ぬね」 やはり、アンプルは偽薬。そして、第12話のデジャヴ。 眞悧「シビレルダロウ。君の妹、高倉陽毬は今夜また死ぬよ」(第12話) あの日は11月の満月の日。また陽毬が死ぬ。つまり、…

アニメ 輪るピングドラム 第21話

ラーメン屋。噛み合わない会話。屍体。 はたして、あの白骨死体が高倉両親のものかどうかは、かなり懐疑的。組織の幹部の死体を放置した場所に、わざわざ出入りするのか。幹部の生死は不明のままにしておくのが戦略的。証拠隠滅を図るのが当然。わざわざ、ジ…

アニメ 輪るピングドラム 第20話

白と黒 追うと逃げるのは影。ペンギン、シャチ、パンダ、白黒の動物。KIGAの会のマークも白と黒。2つのピースに分割するという意志がマークの意味。 16年前のテロで、KIGAの会は一定の成果をあげていたらしい。眞悧の脇侍はシラセとソウヤ。人間とうより…

アニメ 輪るピングドラム 第19話

消えた多蕗。 突如、出現した高倉両親。両親と冠葉の会話に中身はない。おそらく、あの両親は偽物。前回の多蕗黒化の意味を、冠葉がアルバイトしている組織が疑念を持った結果であろうと推測する。多蕗が高倉両親の消息を知りたがっていたのは、多蕗個人の思…

アニメ 輪るピングドラム 第18話

陽毬はどうやって助かったか 陽毬の落下、地上に落下するゴンドラ、床に座り込む冠葉、陽毬を抱える多蕗、と、あたかも、一瞬のように演出されていましたが、あれが十数分間の出来事であれば、可能でなくもないと思います。ゴンドラが落下したとき、地上にい…

アニメ 輪るピングドラム 第17話

【冠葉と陽毬】 とりあえず、冠葉と真沙子が実の双子なんじゃないのかなぁ。真沙子父の手紙の“親子四人”には冠葉が入っていそうな気がします。 【猶予なし】 クリ姫「もはや一刻の猶予もならぬ。ピングドラムを手に入れるのだ」 なぜ、猶予がないのでしょう…

アニメ 輪るピングドラム 第16話

ギャグ回と見せかけて、眞悧の重要な変心を示す回のようです。 【ニセ運命日記】 歌を再生したあと燃え上がって自己破壊を図る日記。そんな物、ゆりはどこから入手したんでしょう。きっと、ピンドラの世界は、ああいった物を、わりと簡単に入手できる世界な…

アニメ 輪るピングドラム 第15話

【晶馬への電話】 2号good jobというべきでしょうか。ペンギンは、いってみれば分身ですから、スマートフォンのリテラシーも晶馬と分かち合っていて当然です。そして、ほとんど手が付けられていない料理がそこにあれば、2号が出没してもおかしくない状況で…

アニメ 輪るピングドラム 第14話

いやはや、今回は、演出回だったと思います 【苹果に冷たい晶馬】 晶馬「これ以上、表面的な言葉で傷つけあうことに何の意味があるんだ」 晶馬の願望、本性、本質、心情を2号の行動で読み解けば、“食いしん坊”と“女嫌い”。2号がことさらゴキブリを退治しよ…

アニメ 輪るピングドラム 第13話

フレームアップ 家宅捜索はフレームアップ臭いですね。でっち上げの証拠を置くために兄弟妹を家から追い払った、それくらいしか合理的な理由は考えられません。冠葉への二度の金の無心の件といい、池辺のおじさんというのが、どうもKIGAグループ寄りに繋がり…

アニメ 輪るピングドラム 第12話

1995.3.20 医師の机に高倉父の写真「第36次南極環境防衛隊」。Wikipediaによると、「第36次南極越冬隊」は1995年1月~1996年1月だそうです。防衛隊の高倉父(A)。男の子が生まれたという電話を受ける高倉父(B)。テロを仕掛けた犯罪組織の高倉父(C)。三者…