ピンドラ再考 あなたたちのピングドラム

あなたたちのピングドラム

運命=決定論的未来

ピングドラムとは、冠葉から渡された半分のリンゴの方ではなく。渡されなかった半分のリンゴの方、陽毬の手から消えていった半分のリンゴ。それがピングドラム。すなわち、ピングドラムとは、”選ばれなかった運命”、”選ばなかった運命”のこと。

そして人それぞれにピングドラムがある。鍵は桃華のセリフ「“あなたたち”のピングドラム」の“あなたたち”。あの運命日記は、桃華だけピングドラム。冠葉の、晶馬の、そして陽毬のピングドラムは別にある。

ゆで卵のピングドラム

ガスコンロで目玉焼きを作る2号――意味は運命の乗り換え。2号は、ゆで卵になるはずだった卵の運命を乗り換えを行い、卵たちを目玉焼きにする(24話)

陽毬のピングドラム

3号に導かれてたどり着いたのは地下61階の“いつもの図書館”。陽毬が返却するのは本の形をした4冊の運命。それは陽毬がこれまでの人生で選びとった運命。“選びとった運命”はピングドラムではない。本が4冊ということは、陽毬はこれまで4回、人生の選択に迫られたということを意味する。陽毬の後ろに列をなす返却待ちの人々の中にはたくさんの本を抱えた人もいる。そういう人はその人の人生において多くの運命の選択に迫られた人なのだろう。

「カエル君、東京を救う」という本はどこにありますかと、係の人に問いかける陽毬。これが陽毬のピングドラム。次のカットで、本日10月15日(土)、返却日3月20日(月)という表示。この問いかけによって本日10月15日(土)に終わるはずだった陽毬の運命は事実上3月20日までの猶予されることになる。

陽毬は「ペンギンさんも探してくれる?」とお願いする。3号は陽毬を空の孔分室へと誘う。空の孔分室のドアの手前まで来た陽毬。同時に多数の鳥が飛び立つ。鳥は銀河鉄道の夜での“命”のメタファ。陽毬はあのときに死んだ。すなわち空の孔分室には、命あるものは入れない。

陽毬は空の孔分室で眞悧に出会う。陽毬は眞悧に「カエル君、東京を救う」の所在を尋ねる。眞悧は次々と本を見つけ出し、これがお探しのあなたの物語だという。

・1冊目「カエル君、Hトリオを救う」はトリプルHとして応募しようとする物語
・2冊目「カエル君、高倉陽鞠を救う」は母親に怪我をさせてしまう物語
・3冊目「カエル君、再びHトリオを救う」は緋鯉の生き血を取ろうとする物語
・4冊目「カエル君、テレビデオを救う」はダブルHがデビューしたという物語

しかし、ヒマリは眞悧が選んだ物語に納得しない。それは、眞悧が選んだエピソードのすべてが、例外なく現実の陽毬の身の上に既に起きてしまった過去の出来事だったからだ。それらは、ヒマリにとって、すでに選択済みの過去の運命であり、選択しなかった運命(過去形のピングドラム)や選択されないであろう運命(未来形のピングドラム)でなかったから、というのがその理由。

陽毬が探していたのは、陽毬の未来の運命。未だに選択していない未来の出来事が記載された本。「カエル君、東京を救う」。それは、選択されたことのない運命であり、現状のままではおそらく選択されないであろう未来の運命の物語である。すなわちピングドラムなのである。その物語は、同時にヒマリをも死の運命から救い、陽毬がこの先ずっと命を保ち続けることができる運命の物語のはず。また一方で、「カエル君、東京を救う」という物語は、多くの人の命を救う。東京中の多くの人間がテロに倒れる運命を回避するという物語のはず。

運命の花嫁の花冠は眞悧の気紛れ。眞悧が選んだ物語に一向に納得しない陽毬に業を煮やした眞悧の気紛れ。そしてそれは桃華への挑戦でもある。ヒマリの命を救えるものならば救ってみろという桃華への挑戦。同時に、眞悧が、桃華がどうあがこうと運命は変えられないと見切っていることを意味する。眞悧としては余裕を見せた形。ひと月分の命の苹果を添えて、陽毬を地上に落とす。遺体安置所で目覚める陽毬。余命は、苹果一個分、すなわち一ヶ月の命。

ダメ、とヒマリが眞悧のキスを拒絶するのは、既に桃華が陽毬に影響を及ぼしていたことを意味する。陽毬の目が赤く変わっていたのがその証拠。桃華にとって眞悧は永遠に闇の中に封印すべき敵。そして、陽毬にとっても同じように敵だったのだ。陽毬は女神が罰を下した相手。女神の罰とは、命の苹果を毎日ひとつずつ一つずつ吸い取られる不治の病。すなわち、女神とは眞悧である。陽毬にとって眞悧は陽毬の命を奪い続ける敵なのだ。敵とキスなどできようはずもない。運命の人がいようといまいとに関わらずにである。

眞悧にしても、かつて罰を与えた陽毬が、空の孔分室に現れようとは予期していなかったはず。女神としての罰は4年前に遡る。4年間に渡る闘病生活の果てに眞悧の前に現れた陽毬。空の孔分室に現れたことで陽毬は眞悧と同種の人間だったという事が判明する。おそらく陽毬はいまだに完全体ではないであろうが、空の孔分室に現れたことが陽毬の超越者たる証。それまでの眞悧は唯一の超越者としては孤独だった。かつて、同種の唯一人の存在である桃華から受けたのは容赦ない拒絶と否定。眞悧としては、ここで陽毬を懐柔できれば、孤独という心の孔を埋め、桃華による拒絶と否定によって受けた傷を陽毬で癒せるかもしれない。

空の孔分室の書棚から「カエル君、東京を救う」を見つけたのは3号。あの本は、眞悧が見つけてはいけない本。なぜなら、あの本の存在は、眞悧の運命を変えてしまうことを意味するから。眞悧にとっては、あってはいけない未来の運命。だから、眞悧は3号がカエル本を見つけたことに気づいていない。気づいていれば取り上げてしまったはず。つまり、どういうことかというと、眞悧には3号が見えていないということ。

3号は、陽毬を空の孔分室に招き入れることで5つの事をなしとげた。

・陽毬の願いを聞き届けた(陽毬の味方)
・眞悧に引き合わせる(陽毬の敵)
・1ヶ月、陽毬を延命させる(HP補充)
・「カエル君、東京を救う」(武器:陽毬のピングドラム
・ペンギン帽の入手(参謀、アドバイザー:桃華)

桃華の運命日記は桃華だけのピングドラム。陽毬のピングドラムは「カエル君、東京を救う」。眞悧は気づいていなかったろうが、眞悧は、あの時点ですでに敗北し始めていたはず。

最終回のラスト、3号が置いていったクマの縫いぐるみのお腹からはみ出ていた紙片。あの紙片もピングドラム。ぬいぐるみ自体は書籍の装丁と同じ位置づけなのだろう。苹果の乗り換えによって、陽毬に兄がいた運命は、すでに過去形の選ばれなかった運命になってしまった。つまり、過去形のピングドラム。陽毬はじきに冠葉や晶馬の記憶を取り戻すだろうが、それは、もはや、乗り換えようもない過去形になってしまったピングドラムの記憶。時間軸上で過去形になってしまった運命はピンドラの物語世界でも取り戻しようがないのだろう。乗り換えられるのは未来の運命だけ。そうでないと乗り換えで死者が蘇るようなことが起こるはずだが、この作品では死者は蘇ったりはしない。陽毬すら本質的な意味では死んでいなかったのだ。

冠葉と晶馬のピングドラム

これがピングドラムだよ、と陽毬が差し出すリンゴ。かつて、檻に閉じ込められた冠葉が格子越しに同じように檻に閉じ込めたれた晶馬に渡したもの。冠葉が、あの半分のリンゴを晶馬に渡すことで、晶馬の運命が乗り換わったのだろう。おそらく晶馬はあのまま死んでしまうのが運命だった。そして、その運命を乗り変えた行為によって冠葉の運命すらも変わったのだろう。つまり、冠葉も晶馬もあの時点でいっしょにピングドラムに乗り換えた、運命の乗り換えを行ったということなのだろう。

冠葉の檻にあったリンゴはどこから来たのか。あのリンゴの実体は冠葉の命だと思う。他者の生存のためにサソリが差し出す自らの命。冠葉は、最初のイリュージョンでプリクリ様に自らの命を提供済みである。冠葉には陽毬の命を自らの命で贖っているという認識がある。眞悧の苹果の期限が到来しバッテリー切れとなったプリクリ様にさらなる命を補充しようとする。しかし、あのとき、冠葉の身にはもうプリクリ様が取得を躊躇してしまうほどの命しか残っていない。

陽毬の最後のイリュージョン。冠葉から盛大に吹き出す血がリンゴに変化する。すなわち命。吹き出す命は、22話で陽毬から返却された冠葉の命。

 陽毬「神様、お願いです。あたしが見て見ぬふりをして冠ちゃんから奪ったものを
    冠ちゃんに返してあげてください。どうか冠ちゃんを助けてあげて。
    私が冠ちゃんからもらったすべてを、命を返しますから」

吹き出す血の多さは冠葉がこれまで高倉家という家族を守るために受けてきた傷の深さ多さを意味する。

冠葉と晶馬、二人にとってのピングドラムとは、あの過去の檻に閉じ込めたられた時点でのピングドラムが唯一のピングドラムだったようだ。苹果が乗り換えを行った後のためのピングドラムが二人には無かった。そのため、二人は乗り換え後の世界から消え去るしかなかったのだろう。

苹果のピングドラム

運命の乗り換えには、関係者全員のピングドラムが使われるようだ。桃華の言う、あなたたちのピングドラムの“あなたたち”とは、晶馬と冠葉だけに限らない。多蕗、ゆり、真沙子、マリオ、陽毬、苹果、池部の叔父夫婦、地下鉄の乗客も含んだ全員のピングドラムのこと。

苹果は呪文を発声することの代償としてその身を焼かれることを知っていた。すなわち、苹果自身が残留する運命としての未来は選ばなかったことになる。その動機は大切な人を救いたいがため。しかし、“選ばなかった運命”こそがピングドラムである。それがゆえに乗り換え後の世界に苹果が残留する未来となったと思われる。苹果が乗り換えを行った時、同時に苹果のピングドラムも使われたのであろう。

真砂子のピングドラム

真砂子のピングドラムは独特と考える。“同時に複数”がキーワード。そして、すべてが過去形のピングドラムになっている。そしてそれらのピングドラムは同時に複数を選択し得たピングドラム。夏芽真砂子の夢の物語(第16話)。真砂子は佐平翁をなんども殺害する。回想「今日もまたあの男を殺す夢を見てしまった。あの男がいる限りお父様はこの家に帰っておいでにならないから。」

 ・毒入り朝の紅茶
 ・毒吹き矢で首筋を撃ちぬく
 ・ゴルフボールでこめかみを撃ちぬく
 ・フルーツ盛りの中にキングコブラを忍ばせる

しかし、佐平翁は自らが捌いたフグの毒で死亡。夏芽家は呪われたと言う真砂子。今日、佐平翁が乗り移ったかのようなマリオがフグ刺しを用意している。毒入りと毒なしの二択。運命の選択。選んだ運命と選ばなかった運命とは、ピングドラムのメタファ。真砂子は二皿とも、つまり同時に複数の運命を一気に食べ(選択し)、当然のように毒にあたり死にかける。眞悧「シビレルダロウ。・・・」落ちてゆく真砂子とギガマークの弾丸。舞台が運命列車に変わる。眞悧がマリオから受け取ったリンゴ(マリオの命)をキガマークの弾丸に変える。ギガマークの弾丸は“命”から作られていた。

なぜ、真砂子は昔の夢を思い出すのか。第10話、苹果が落とした運命日記前半を拾ったのは連雀だった。運命日記前半は真砂子に渡っている。運命日記は桃華のピングドラム=選ばれなかった運命である。真砂子が入手した運命日記が前半部分だけだったことが、つまり運命日記の過去部分が真砂子に見せた真砂子自身の過去形のピングドラム(選ばなかった過去の運命)と解釈できる。かつて真砂子には佐平翁を殺害するという運命の選択枝があったこと、しかし真砂子がその運命を選択しなかったことを示している。

陽毬が空の孔分室で眞悧に実際に選択した過去分の物語を提示されるのと同様に、真砂子が選択しなかった過去の、それも同時に選択可能だった複数の運命を提示される。提示したのは誰か。眞悧にはピングドラムは感知できない。エスメラルやマリオのペンギン帽の可能性もあるが、わざわざ真砂子の過去分のピングドラムだけという現象から、前半部分だけの運命日記が作用した可能性が高い。エスメラルのアシストはあったかもしれないが、真砂子としてはエスメラルダに特にお願いしたわけではないから除外してもいいかもしれない。

一見、まどマギでほむらが繰り返したような同じ期間の繰り返しのようにも思えるが、そうではなく過去の時間軸の特定の期間において、同時にどれか一つを選択し得た複数の運命である。回りくどい言い方になるが、そのいずれをも選択しないという選択を行った上での現在の時間軸の真砂子が、身近に置いた桃華の運命日記に影響されて夢として見た過去形のピングドラムだったという言い方ができると思う。

あるいは、事象自体が時系列ではないのかもしれない。眞悧によるマリオ毒殺を回避した上で見た佐平翁殺害のピングドラムの夢だったのかもしれない。父親にこだわり、兄にこだわる。真砂子は過去型に生きる女なのである。佐平翁と同じように行動するし、ラストで、真砂子には兄がいて真砂子のことを愛してると言っていたわという。たぶん、真砂子は思い込みと思い違いに生きる女なのである。

多蕗のピングドラム

乗り換え前の世界では、多蕗は桃華に囚われているゆえに、多蕗がゆりを愛するという未来は選び得るはずもなかった。しかし、乗り換え後の世界では、多蕗がゆりを愛するという、選ばれることがなかったはずの未来、(ピングドラム)が使われた。前世の記憶があることと未来が可変であることとは別のようだ。

さらに、多蕗は複数のピングドラムを持っているようだ。真砂子のように過去形のピングドラムではなく、ピングドラム本来の意味である未来形の運命。桃華が子供ブロイラーで多蕗の運命の乗り換えを行った時に一つ。苹果が運命の乗り換えを行った時に一つである。多蕗はその名の通り、多くの路(ピングドラム)の保有者なのであろう。

桃華のピングドラム

そもそも、運命日記は桃華固有のピングドラムなのであろう。日記は、“桃華の神様”が桃華に与えたものと推測される。もともとは、いかにも空の孔分室にありそうな書物。日記に記述して、ひとつひとつ実現してゆくと、実現した未来が永遠の真実になるという預言書。過去と未来は曖昧だが、かなり未来のことまで記述してあったようだ。この場合、“実現してゆく”というのは“乗り換えてゆく”というのと同義。日記に記述して、ひとつひとつ乗り換えてゆくと、乗り換えた未来が永遠の真実になる、という意味になる。

ゆりのピングドラム

ということは、ゆりが入手した運命日記の後半には桃華のことは書かれてはいなかったはず。多蕗と結婚し妊娠する。それは桃華のことではなく、実は、ゆりのことだったはず。書き換えるべき所有者を失った日記の記述が書き換わるはずもない。

ヒカリとヒバリのピングドラム

ヒカリとヒバリのピングドラムも使われた。ヒカリとヒバリの新世界での”ダブルH”という未来がそれ。それ自体が前世界では選ばれなかった未来。では、ヒカリとヒバリが乗り換え前の世界で選んでいた未来とは何か。それは当然、”トリプルH”という未来。ふたりは、いつの日か、”トリプルH”という未来が来ることを信じて、ずっと、待っていた。だから、陽毬のマフラーをよろこんで受け取ったし新曲CDを渡しにもやって来た。

苹果による乗り換えのあと、ダブルHと陽毬の関係性が切れたのは、トリプルHという未来が過去形のピングドラム化されてしまったからであろう。

連雀のピングドラム

激写される連雀。プリクリ様に激写される連雀。一見、意味不明ではあるが、これもピングドラムのメタファである“選択しなかった運命”を重ねると、連雀には、過去形ながら、グラビアアイドルという運命の選択肢があったという意味になるのかもしれない。ただし、このエピソードは、あの時点でプリクリ様が健在であったことを示すのが本来の目的だったのではないだろうか。

子供ブロイラー

子供ブロイラーとは、おそらく、ピングドラムをすりつぶす場所・工場のこと。ピングドラムをすりつぶされた子供たちには敷かれたレールに沿った未来しかなくなる。乗り換えるべき運命などなくなってしまう。定まった運命のままに生きるしかなくなる。それが透明になるということ。

果実の形をしたリンゴ(苹果)とは、運命に、つまり、あらかじめ定められた未来に、たどり着くまでの“命”。そして選択した未来を生きてゆくための命。過去形のピングドラムも選択の時期が訪れるまでは未来系のピングドラムピングドラムは命の形をしている。子供たちは幼ければ幼いほどたくさんのピングドラムを、命のリンゴを持っている。子供たちはひとつずつ、1ヶ月に1個ずつ命のリンゴを消化しつつ未来へと命の歩みをつづける。

眞悧には、人間からリンゴ(命)を与奪する能力がある。眞悧が与奪するリンゴ(命)とは、選択された運命である現実世界を生きてゆくための命。ピングドラムのためにあらかじめ付与えられていた命とは意味合いが異なる。眞悧はピングドラムを信じていない。

高倉両親の指名手配の当日、高倉家の下駄箱に置かれた3個の苹果は、晶馬が語る女神さまの罰によって陽毬から取り出された陽毬の命。女神とは眞悧のことである。避難先のホテルのベッドの中でも、陽毬はその身から苹果をひとつ取り出していた。陽毬は1日に1個ずつリンゴ(命)をとり出し続けた。これが眞悧が与えた女神様の罰。つまり、女神様の罰は家宅捜索の3日前から始まっていた。

選ばれない子(選ばれない運命)だった陽毬を、こどもブロイラーのベルトコンベアから引き戻す晶馬。結果的に、晶馬によって陽毬のピングドラムは、すり潰されずに済んだことになる。晶馬が言う“運命の果実を一緒に食べよう”とは、未来を共有しようという意味。また、運命の至る場所の“場所”とは“時間軸上の座標”の意味。そこまでの命を共有しよう、いっしょに生きようといったのと同義。

TSMはなぜモノレールなのか

 (ナレーション)「かつてのシステムのような利便性への傾倒は許されないのです。
          そこに人の心を反映させることが不可欠なのです。」

 パラレール=2条の並行した運命、運命の乗り換えができる
 モノレール=唯一の運命、運命の乗り換えができない。

地下鉄が、二度と運命の乗り換えができないように、つまり、二度とテロの対象にならないようにという暗喩。そして願い、あるいは祈りか。別の言い方をすると、2条のレールの内、片方を“すり潰した”とも言えなくもない。モノレール化の目的は、子供ブロイラーの目的と同一であるようだ。ただし、結果論になるが、モノレール化には運命の乗り換えの阻止という目的に対しては実効性がなかったようだ。

 

つづく

 

ー 目次 ー

 ピンドラ再考 あなたたちのピングドラム

 ピンドラ再考 桃華の神様とは

 ピンドラ再考 愛してる