アニメ 輪るピングドラム 第17話

【冠葉と陽毬】

とりあえず、冠葉と真沙子が実の双子なんじゃないのかなぁ。真沙子父の手紙の“親子四人”には冠葉が入っていそうな気がします。



【猶予なし】

  クリ姫「もはや一刻の猶予もならぬ。ピングドラムを手に入れるのだ」

なぜ、猶予がないのでしょうか。前回、マリオが殺されそうになったことを言っているのだと思います。クリ姫はマリオの危機をどうやって知ったのでしょう。可能性があるとすれば、連雀をイリュージョンに取り込んだことと、連雀がイルージョンのこと覚えていないこと。つまり、連雀を通じて真沙子とマリオの情勢を掴む何らかの仕掛けをしたであろうこと。そして、それによってマリオの命が危険に晒されていることを知ったためと思われます。

さらに、眞悧の“戦争”発言は、クリ姫がマリオの危険を察知したことで、クリ姫が対抗する行動に出ることを察知した上での発言だと思われます。つまり、クリ姫の思考は、すでに眞悧に見透かされています。とうぜん、クリ姫もそのことを予見しているはず。それでも行動開始するクリ姫。たこ焼きパーティは高倉家最後の団欒だったのではないでしょうか。そんなクリ姫が、いちいち眞悧に外出許可なぞ求める必要がありましょうか。外出許可のこと、時間があるといったこと、すべて陽毬の嘘だと思います。



【ゆりと多蕗のシーン」

高倉兄妹を許すことはできないというゆり。苹果は桃果じゃない、実行犯と家族は別、という多蕗。桃果は死んでなんかいないわ。そうだねと多蕗が答える。

  ゆり「寒いわこの部屋。カーテンが必要ね」

窓から見える東京タワーを隠したいという心理。桃果を取り戻すという決意と、取り戻せないという常識とのジレンマ。ゆりが隠そうとするのは、ゆりの行動を掣肘する“桃果は死んだ”という多蕗の認識。多蕗は白いシャツを着ている。多蕗の言葉は本音。

追記:これから罪を犯すゆりの姿を東京タワー(桃華)から隠すため、とした方がよさそうです。



【日記の作者】

日記の作者を考え直さなければならない時がきたようです。

  ゆり「高倉は多くの人の命を奪ったのよ。桃果はそれを止めようとして」

なぜ、ゆりは桃華の最後の行動の目的を知っているのでしょうか。そして、なぜ、ゆりは桃華を取り戻せると考えるのでしょうか。たぶん、日記の最後から読み取ったのだと思います。しかし、桃華は“乗り換え”ようとして失敗した。テロは実行に移され、日記は残され、桃華は死んだ。

桃華が死んだのは確かなことだと思います。なぜなら、空の孔分室に出現しているからです。また、生き返った可能性が非常に高いこともほぼ確実です。なぜなら、陽毬と同様に、畳まれてゆく床から、ペンギン帽をかぶった靴下の女の子が落ちて行っていっているからです。したがって、少なくとも桃華の肉体は、この世のどこかで生存状態にあるはずです。

  「赤坂見附駅、エレベータ、赤いくつの女の子」

冠葉の元カノが突き落とされたのはエスカレータでした。ここは演出ミスではなかったのでしょう。あの日記にエレベータと書かれた時点では、赤坂見附駅には、エスカレータはなくエレベータがあった。ここは“景色が変わった”と考えるべきかと考えます。きっと、ゆりは、おなじような記述なり景色の違いに気がついたのだと思います。



【外出する陽毬】

苹果を引き連れて買い物にゆく陽毬。眞悧に外出許可をもらったというのは嘘です。帰らなければ、眞悧が陽毬に罰を与えるであろうことも計算の内。

ゆりからの電話。苹果が陽毬と一緒にいることを告げる。ゆりは合流を約し、車に戻りボウガンを手にする。すなわち、ゆりが苹果に電話した目的は苹果に陽毬を誘い出させること。そしてボウガンの狙いは、陽毬。ゆりは陽毬を殺すことが桃華の復活に繋がると信じているようです。なぜ。そんな緊迫した場面で、タイミングよく真沙子登場。バトル開始。ゆりは足止めされる。

珈琲店で待つ苹果と陽毬のもとに現れたのは多蕗。苹果と陽毬を誘い、建設中のゴンドラに乗り込む

  多蕗「ぼくの生きている意味。これから見せてあげる。
     決めたんだ。
     今日ぼくは、高倉家の人間に罰を与えるよ」

多蕗は、ゆりに嘘を言っていたのでしょうか。そうは思えません。もし、本当に多蕗が黒ければ、これまでには何度でもチャンスはありました。今日ここにいたって豹変したのです。多蕗の黒化を、陽毬に“眞悧の罰”を与えるためであると考えると辻褄があいます。

人の心の裡には、どんな人間であろうと良心と悪心が同居しています。“罰”を与える手段が人間の悪心を増幅することによって行われるのであれば、どんな良い人間であろうとも、悪人に豹変せざるをえません。16年前の高倉両親も同じだったのではないのでしょうか。

しかし、救いがないわけではないと思います。増幅された暗黒面に押しのけられた良心はどうなるのでしょうか。おそらく、シグナルを上げるのだと思います。“救けて”と。眞悧は“救けて”という声が聞こえる特別な存在。桃華も同様です。桃華が、テロを阻止しようとしたのは、高倉両親たち実行犯の追いやられた良心が発する“救けて”という声を聞いたからだと思います。

黒いシャツを着た多蕗。ドヤ顔の陽毬。

多蕗の黒化は陽毬(クリ姫)の計算の内だったようです。そして、多蕗の良心は既に“救けて”とシグナルを上げつづけているはずです。では、多蕗のシグナルを受けるは誰になるのでしょうか。眞悧、桃華、マリオ。過去に、多蕗のシグナルを受けとめた実績があるのは桃華だと思われます。桃華がもっともシンクロしやすいはずです。同じように、ゆりの良心もシグナルを上げるのかもしれません。

  眞悧「戦争だよ、戦争、もうすぐ戦争が始まる」

戦争を仕掛けたのは陽毬(クリ姫)です。連れている護衛は武闘派の苹果です。おそらく陽毬が呼び出したのでしょう。

 

つづく >輪るピングドラム 第18話