2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

銀河鉄道は南下したのか

銀河鉄道は北十字から南十字へと走ります。白鳥座、鷲座、いて座、蠍座、ケンタウルス座、南十字。夏の星座を北から南へと南下しています。さまざまな「銀河鉄道の夜」関連の書籍を読んでも、例外なく銀河鉄道は南下してゆくイメージで読まれています。なぜ…

「やまなし」のかばの華

三作品に共通するモチーフとして花があります。 「やまなし」ではかばの華(ヤマザクラの花)が鎮魂の意味で流されます。じつは「銀河鉄道の夜」でも華は流されています。それは“烏瓜のあかり”です。たいていの方は“烏瓜のあかり”とは小さな烏瓜の青い実の中…

カムパネルラは天上にいけたのか

さて、「銀河鉄道の夜」は「やまなし」や「二十六夜」とはどう関連するのでしょう。 ジョバンニは、鳥捕りがいうところの、ほんとうの天上にいける切符をもっていました。だとすると、カンパネルラが持っていた切符は、ほんとうの天上行きの切符ではなかった…

「やまなし」の大1小2

「やまなし」には小型の蟹が二匹と大型が一匹でてきます 来迎三尊を思い出してください。仏像や仏画では阿弥陀は大きく、脇時の観音・勢至は小さく作られ描かれています。大1小2、つまり、父蟹は阿弥陀に、子蟹たちは観音・勢至になぞらえられているのです…

作品群としての「やまなし」「二十六夜」「銀河鉄道の夜」

「二十六夜」は普通の意味での"童話"ではありません。中学生以下には読めないだろうし、小学生以下では親に読んでもらっても言葉の意味が解らない。親も仏教用語の説明に困る。高校生以上でもほとんどの人が挫折することでしょう。たとえ通読できたとしても…

羅須地人協会

アナグラムの考察のついでに、ちょっと脱線します。 遠藤周作「わたしが・棄てた・女」、ヒロインの名を“みつ”といいます。遠藤周作氏によると、“みつ”とは“罪(つみ)”の真逆で“罪なき者=イエス・キリスト”の意だそうです。まったく同じ用法が賢治と同時代…

「やまなし」、イサドとは

###「やまなし」、イサドとは 「やまなし」ではクラムボンともうひとつイサドという言葉が謎とされています。 父蟹「もうねろねろ。おそいぞ。あしたイサドへ連れていかんぞ。」 はじめ、わたしは、この個所はふつうに方言として読んでました。「あした、“い…

ドラマ「二十六夜待ち」

「やまなし」を読み解くためには「二十六夜」の精読が必要です。しかし、「二十六夜」を精読するには理由が必要です。 わたしが「二十六夜」を精読したきっかけは、金八先生の武田鉄矢氏が「二十六夜待ち」という作品を書き、それが絵本になり、同名のテレビ…