宮崎駿作品

トウモコロシとオチャマタクシ

妻が見つけました。壺井栄「孤児ミギー」という作品内の一節です 「あ、風がいるよ、たくさんの風がいるよ、おかあちゃん。」 ミギーは畑のほうを見ながらいいます。 「風がいる?どこに。」 お母さんがわざとたずねると、 「あすこにいるじゃねぇか。トウモ…

宮崎駿 「風立ちぬ」

宮崎駿らしさにあふれた作品。十一作目にして、きれいさっぱり微塵も宮沢賢治を感じさせない作品。もはや匂いさえない。風が吹くとき木々はざわめき枝を震わす。時代の風が吹くとき人の心もまた不安に震える。風や煙という、きわめて使い古され、かつ、オー…

三と十の暗合 目次

三と十の暗合 目次 三と十の暗合 千と千尋の神隠し 「千と千尋の神隠し」の中の宮澤賢治作品 カオナシ考 ハウルの動く城 崖の上のポニョ 宮崎駿 「風立ちぬ」 トウモコロシとオチャマタクシ

崖の上のポニョ

人魚から人間になった燈台守の話 理砂「今、この家は嵐の中の燈台なの。 真っ暗な中にいる人は、 みんなこの光に励まされているわ。」 ポニョが起こした嵐の中、家にたどり着いた理砂が緊急用電燈をポニョに託します。ポニョはそれを頭にのせる。まるで燈台…

ハウルの動く城

南十字が心臓を取り戻すという話。史上もっともロマンチックな宮崎駿作品 荒地の魔女のメッセージ 「汝、流れ星を捕らえし者、心なき男、お前の心臓は私のものだ」 心臓を失ったことで、魔力を得、魔力を使うことで、だんだんと人間を失ってゆくハウル。ハウ…

カオナシ考

カオナシの正体は、・・・もちろん、不明です。 しかし、カオナシが作品中で、どんな存在だったのか解きほぐすことができるように思います。すなわち、カオナシとハクには多くの類似点があります。 (1) どこか他所からやってきた存在であること。 ハク 油屋…

「千と千尋の神隠し」の中の宮澤賢治作品

「千と千尋の神隠し」の大きな特徴として、「銀河鉄道の夜」、「双子の星」、「どんぐりと山猫」のイメージやらエピソードやらモチーフやらが引用されて盛り込まれています。非常に宮澤賢治を強く感じる作品になっています。それぞれを検討してみます。 1.…

千と千尋の神隠し

呼び出され試される物語(優等生などんぐりと山猫) 龍の薬のふたつの効能 最初に飲んだときは、体の中にため込んだものがすべて排出されます。ハクは苦団子を飲まされて魔女の契約印と虫を吐き出しました、カオナシは食べたものをすべて吐き出しました。千…

三と十の暗合

※以下は、二枚貝説の知識を前提としています。 劇場用宮崎駿作品は、ある基準を用いると前期5作品と後期5作品に分けられます。その基準とは、ヒロインもしくはヒーローが魔法を掛けられているか呪われている、という点です。 具体的には、ポルコは豚になる…