アニメ 輪るピングドラム 第21話

ラーメン屋。噛み合わない会話。屍体。

はたして、あの白骨死体が高倉両親のものかどうかは、かなり懐疑的。組織の幹部の死体を放置した場所に、わざわざ出入りするのか。幹部の生死は不明のままにしておくのが戦略的。証拠隠滅を図るのが当然。わざわざ、ジャンバーや名札を残しているるが、わざとらしい。したがって高倉両親の生死はいまの時点ではやはり不明と言わざるを得ない。

ラーメン屋での両親と冠葉との会話が噛み合わないのは、会話がリアルタイムの会話ではないから。かつて両親の失踪前に交わした会話の記憶。営業中らしいラーメン屋の風景もかつての記憶。

ゆりの登場。週刊誌記者は、ゆりが多蕗の消息を知るため高倉家周辺情報を流して利用していたのではないだろうか。新任高校教師が週刊誌記者と繋がりがあると考えるより、芸能人であるゆりがツテを持っていたと考える方が妥当。

その週刊誌記者は、歩道橋で冠葉が実行指令を下した直後、事故に遭う。あの衝突ではトラックの運転手も無事に済みそうもない。冠葉が事故を仕掛けたようにも見える演出だが、事故は故意ではなく偶然だった可能性が捨て切れない。

黒服の多蕗・ゆりへの襲撃も、冠葉の実行指令の直後に起こっている。タイミングでいえば、冠葉の実行指令は、多蕗襲撃指令だったかもしれない。

黒服のターゲットは誰か。冠葉がラーメン屋に現れたのは、多蕗の事件の後。死体のあるラーメン屋で金を受け渡しするのは、やはり、多蕗をおびき出すのが目的。案の定、多蕗が現れる。黒服がナイフを振う。おそらく殺害までは意図していない。警告として多蕗に怪我を負わせ、死体を見とどけさせれば、それで多蕗の追求は終わると考えたのではないか。それ以上、多蕗が関わってくるならは、それはその時のこと。そもそも、多蕗殺害が目的であれは、K.高倉の白骨死体があるところに誘導する必要がない。

刺されたのは誰か。多蕗ではないかと思う。黒服のターゲットは多蕗。多蕗は、K.高倉の死体も見届けた。復讐のターゲットの喪失。多蕗にはもう何も残っていない。むしろ、ゆりをかばって傷を負う。自暴自棄。黒服はおそらく多蕗に傷を負わせれば目的が果たされる。



第一、第二勢力、そして、第三勢力

高倉父「この世界は我欲に満ちた者たちが作ったルールに支配されている」

“我欲に満ちた者たち”とは、鷲尾医師がいう“眞悧がリーダをしていた犯罪組織”。眞悧の組織の世界というのは闇ウサギが支配する。1ピースの世界。それは、子供ブロイラーの有る世界。これが第一勢力。

高倉両親の行動の目的は“ルールに支配された世界”を変えること。闇ウサギが支配する世界を、昼の世界と夜世界に2ピース化すること。それは、子供ブロイラーの無い世界。したがって、KIGAの会は第二勢力。しかし、KIGAの会の闇の部分(テロという手段)は、眞悧が増幅し支配することが可能な部分かもしれない。

第三勢力が桃果。そもそも、眞悧の知覚の範囲外。桃果の介入は予期しない突然の介入だったはず。眞悧は肉体を失い、左右の従者を死なせ、彼らの黒ウサギだけが残され、生き残った構成員はピング・グループ(表)とKIGAの会(裏)に組み入れられる。桃果は眞悧の報復を受ける。

テロでの犠牲者というのは眞悧の組織の表と裏の構成員だけだった可能性もある。

鷲尾医師、ふぐ鍋。眞悧は16年前死亡。幽霊のようなもの、月の女神を兼ねた日の神。人外の存在。眞悧は、再度、肉体を手に入れようとしているのではないか。

 眞悧「かつての同胞から、その子供たちへぼくの意志が引き継がれる」

このセリフには、眞悧のいう“ゲーム”の性格の言い表しがあるとすると、冠葉、晶馬、陽毬、真沙子、マリオ、全員を引きこんで眞悧の支配下におこうとしている意図が透けてくる。

かつまた、眞悧の第一勢力の一部がKIGAの会に入り込んでいることの示唆があるのではないか。冠葉父は、じつは第一勢力の生き残りかもしれない。そして、冠葉父の意志に反して、冠葉が高倉父に心酔していったとすると、冠葉父の“冠葉との家族作りに失敗した”というセリフになるのかもしれない。



ほどけた絆

マフラーを差し出す陽毬。マフラーは“絆”だった。冠葉が晶馬をなぐる。冠葉の手は、すでに完治している。包帯をしていたのは多蕗向けの偽装。ダメージは1号2号へ。晶馬が殴られると当然2号もダメージを受ける。ほどける包帯は“絆”の暗喩。

 眞悧→晶馬「陽毬はもうすぐ死ぬ」
 眞悧→陽毬「陽毬は死なない」
 眞悧→冠葉「陽毬は治る」

これは、実俊の分断策。

なぜ晶馬は陽毬をおじの所に送るのか。パンダのタマゴのお菓子が池辺のおじの訪問を意味している。池辺のおじと陽毬とは血縁があるのかもしれない。借りたものを返す。晶馬は命短い陽毬を、血のつながったの実おじの元へに返したのかもしれない。高倉陽毬のままだと犯罪者の娘として好奇の対象にされかねない。池辺家の緋鞠だと一般人の娘。そう考えたのではないか。

陽毬の薬代は、KIGAの会の金。冠葉が殺されるという真沙子の警告。冠葉が稼いでくる金は冠葉が自らの命を引き替えた金であることを意味する。冠葉を止める、冠葉を救う、という陽毬の決意。陽毬「命に替えても」。

冠葉が金を稼ぐ動機は、陽毬を治し陽毬を救うため。このジレンマから冠葉を救うには、陽毬自身が陽毬の命を贖うしかない。しかし、陽毬は死なない。自死以外の手段を選択する必要がある。その手段とは“ピングドラム”の入手。



ピングドラム

いまここ(あと3話)にきて、もはやピングドラム≠日記の訳がない。時籠ゆりはドラム。ゆりが所有しているのは日記の後半部分だからドラム。となれば、真沙子が所有している前半部分がピング。

苹果が晶馬から陽毬不在の訳を知らされる。苹果は、陽毬を晶馬のところに取り戻そうと池辺のおじのところを訪ねるが、陽毬は来ていない。日記を奪ったのがゆりだとも聞かされる。苹果は、ゆりから日記を返してもらう。前半分も真沙子から返してもらう、強引に。そして、陽毬発見。クリ姫登場。苹果が呪文を言わされる。

 

つづく >輪るピングドラム 第22話