アニメ 輪るピングドラム 第9話

なんか、今回は、「化物語」を見ているような感覚でした。


分室への扉の直前。飛びすさぶ鳥。陽毬が空を仰ぎみる。鳥は陽毬だった命。陽毬はあの瞬間に死んだ。そして、眞悧から与えられる苹果。苹果とは新しい陽毬の命。そして蘇生へ。

これは、二枚貝説だと思います。苹果=命という解釈は「銀河鉄道の夜」単独でもたどり着けないことはないと思いますが、鳥=命という解釈は、「やまなし」「二十六夜」「銀河鉄道の夜」を三連作とした上でないと、たどりつけないはずだと思います。苹果=清浄な命、鳥=殺生の罪に汚れた命という区別。かならずしも、わたしのブログを読んだという意味ではありません。宮崎駿という偉大なる先駆者がいますから。


ランドセルに当たって落ちる消しゴム、いじめがあったという暗喩でしょうか。しかし、陽毬にたいして、振り向け、立ち止まれ、というみんなの意思表示だったと、考えられなくもありません。拒絶したのは陽毬の方であって、ハブられたわけではないのかもしれません。

中央図書館そらの孔分室。ジョバンニ「あ、あすこ石炭袋だよ。そらの孔だよ」。図書館。本の本(第三次稿)。ジョバンニのカムパネルラ家の回想。7つの大罪、7つの海。カムパネルラが持っていた鉄道模型は、7つのレールを組み合わせると丸い輪になりました。

陽毬が見たかった(確認したかった)のは、ダブルHがデビューしたという事実。終わってしまった運命の物語、終わってしまった運命の確認。場外ホームランとは、ダブルHのデビューのこと。

“あのことがなければ”、あのこととは・・・。緋鯉殺しは、母親殺しの暗喩でしょうか。鏡の破片で切った傷。うそつきと娘に糾弾された心の傷。陽毬の母親は、あの夜の傷のせいで死んでしまったのかもしれません。


  眞悧「まだ物語は終わったわけじゃない。そう、たとえば、こんなものとか」
  陽毬「それは何」
  眞悧「これは運命の花嫁に捧げる花冠」
  陽毬「花嫁?わたしは誰の花嫁になるの」
  眞悧「たぶん、その答えは運命の至る場所にある」
  陽毬「それはどこ?」
  眞悧「きみはその場所を知っているはずだけど
     (略)運命はどこに至るのか、誰の花嫁なのか」

宅配便の箱に氷漬けになる1号、2号、3号、カエル本。陽毬には、読み終えていない真実の運命の物語があった。それがカエル本。そして、陽毬の蘇生。

眞悧から苹果が与えられる。苹果を与えるのは、銀河鉄道の夜では、燈台看守の役割。宮崎作品では燈台看守はポニョ。苹果の赤、ポニョの赤い服、眞悧の赤い髪、赤のアナロジー。燈台看守は運命の人ではない。「それまでは、」と迫る眞悧を、「ダメ」と拒絶したのは陽毬の深層か。


子供ブロイラーの記憶

  男の子「運命の果実を一緒にたべよう」
  女の子「選んでくれてありがとう」

陽毬の夢、そして、晶馬の事故。臨死。晶馬も覚醒するのでしょうか。

キーワードは、蘇生と覚醒、運命、記憶消去。

 

つづく >輪るピングドラム 第10話