病院のチカラ~星空のホスピタル 第5回「それぞれの今」

死のうとしたことを親に言わない陽子。悪性リンパ腫であることを口止めする院長。病状が悪化していることを栗原言わないでくれと母に頼んだゆりちゃん。今回は「口止め」がキーワードです。大切な人に知られたくない、なぜ。

  解決不能なことで大切な人の心を乱してしまうから

なのでしょうね。

陽子が窓から見た星空に心を奪われるのは、都会からきた人間だからという設定です。都会から来たという設定がなければ成り立たない話です。脚本のテクニックや組み立てが透けて見えるように思えてしまうのが残念。

脚本に、テクニックや組み立てがあるのはドラマだから当然なのですが、そのテクニックや組み立てが「地域医療」という本来このドラマが目指した問題意識とは別の次元にあるみたいです。どういうことかというと、このドラマから「地域医療」というテーマ(のはず)を外し、他のテーマに差し換えてもドラマとしては成り立つように思えます。

なぜ、テーマが交換可能なのでしょうか。推測ですが、まず企画がありきで脚本家が注文がいった。しかし、最終的に脚本家にはテーマを語るべき側面・切り口がはっきりとは見えていなかったのだとおもいます。時間不足だったのかもしれないし、ふたりの脚本家の共同作業ゆえの妥協があったからなのかもしれません。

俳優たちの演技はいい。演出もいい。音楽もいい。主題歌も涙がでそうになる。

じつは脚本もいいのです。ミスといえるようなミスもないのです。でも、この脚本はもっとも大事であるはずのテーマを取りこぼしている。そう感じてしまうことが、ただただ残念です。