病院のチカラ~星空ホスピタル~ 第1話

エンドタイトルのタイトルバックに目を奪われました。

ともみが白い雲がうかぶ青空を見上げている。海辺に遊ぶ少女の姉妹のすがたが重なる。海面にいちめんに広がる無数の光の燦爛。海は夜空です。無数の光は無数の夜空の星。

  まるで億万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて空じゅうに沈めた
  (銀河鉄道の夜

いちめんの星空に遊ぶ姉妹。そして橋。橋の上の姉妹。星空に浮かぶ橋はカササギの橋です。

  河原の青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに
  列になって(同)

海に沈む太陽。海に映える残照が夜空に浮かぶ銀河のようです。カササギの橋は、七夕の夜、遠く別たれた彦星と織姫の逢瀬のための橋です。

永遠に別たれた妹。留守電の妹の声に話しかける姉。留守電の妹の声は、遠く別たれた妹と逢うための橋。


  瞳「お医者さんってすごいね。
    だって、こうやっておねえちゃんと話ができる時間、
    最後にプレゼントしてくれたんだもん。
    お姉ちゃん。お医者さんになるといいよ。
    あたし、お姉ちゃんにお医者さんになってほしい」


ともみが医師になったのは妹の遺志を実現するため。医師としてのともみの行為は妹のいう「時間のプレゼント」。数時間、数日間、お産の場合は数十年間の時間。星のひとつひとつは、ともみがプレゼントした時間のひとつひとつ。

しかし、一方で患者の死はともみにとっては辛い。妹の願いの実現と、患者の死に直面しなければならない辛さとの葛藤。患者の死が辛いのは、妹の死が辛いため。

主題歌、熊木杏里の歌、やさしいやさしい歌声ですね。森田童子を思い出しました。歌声のやさしさはヒロインの辛苦を包み込むためでしょうか。

かなりの傑作の予感です。


なんか、このドラマに、かなり刺激されました。賢治作品の話、再開したいと思います。