野ブタ。をプロデュース -第8話-

なんか、脚本を信じられなくなりました(笑)

蒼井は信子の逆プロデュースをやってるんですって。なら蒼井の動機はファザコンによるものです。けれど、もう一段仕掛けがあって、それはあの陳腐の代名詞、TBS流“赤い疑惑”。

信子義理父(以下信父)は信子の父でもないが、カスミの父でもない。カスミが実子でなかったのが信父の離婚の原因。「君のおとうさんじゃないから」というセリフは、離婚の傷が言わせたセリフ。だからって、カスミは父を盗られたと思いこみであんなに恨みに思うかなぁ。無理があると思う。

蒼井の犯行は「死ね」と書いたことと中傷チラシのグループをオルグったことくらいじゃないでしょうか。でないといろいろ辻褄が合いません。

辻褄が合わないのはヌカミソもそう。彰は写真だなんてひとことも言ってないのに、なんでジャムおじさんは、それがヌカミソに着けられる“もの”だとわかったんでしょうね。演出は、ジャムおじさんに漬物を食べさせて伏線を張ったつもり。安易に過ぎます。北川演出は、佐久間演出もそうですが、岩本演出の情報量の多い演出と比べると、はなはだ落差が大きい。見てて笑えません。北川演出と佐久間演出もいっしょにヌカミソに漬けとくと、そのうち笑えるようになるかも。

キャサリン「ドラキュラはいると思うか」って、質問が悪い。「雪女はいると思うか」って聞けばよかったのに。そっちの方が信子にとっては核心。でもドラマにはならなかっただろうけど(笑)

まり子弁当への突撃は信子が仕組んだもの。修二がまり子の弁当を食べにいったことを知り、まり子弁当の名誉挽回のために仕掛けた。けれど、食べてたのは彰。信子は当てが外れたのと、うまそうにまり子弁当を食べている彰に嫉妬、二重にショック。そのショックをタイヤキのように半分おすそ分け、しゃもじでゴンと殴る。

ここいらへんは、脚本が、信子に修二を抱きしめさせた代償として、彰にまり子の弁当を食べさせたのでしょうね。脚本もいろいろ作品中の役に気をつかって大変です。ともかくも、信子の弱点は弁当(てか料理)。突撃隊は信子が昼飯を節約する狙いもありとみた。そのうえ、信子は彰をゴンゴン殴る。信子は鬼カノかもよ、彰。

どうでもいい奴らが剥がれ落ちる。蒼井が犯人だということは、彰は知らないが信子は気付いている。蒼井のことは、もうたいした問題じゃない。残った最大の問題はまり子。

修二にまり子が階段に置いた弁当に手をつけられたとは思えない。矜持と罪悪感。まり子は許してくれるだろうが修二自身がまり子を傷つけた自分が許せない。彰が信子を傷つけた自分を許せず信子と距離をとったのと同じ。

野ブタプロデュース再開。クス球に入っていたのは初号機。修二と彰は、信子がふつうに笑えるようになったのに気付かない。それほどまでに再開がうれしい。信子が普通に笑えるようになったのは、活舌「イキシチニ、ヒミイリイ」の練習の成果。いってみれば、カスミが放送部にさそってくれたおかげ。ちなみに、美術準備室にあったのが弐号機。髪がノビタ人形が零号機。


さて、美咲は真犯人ではなかったわけで、わたしとしては敗北を認めざるを得ません。でも、よかったかも。

平成夫婦茶碗」は実質ダブルヒロインで、そのうえ母親役は交代可能だったから、実質的なヒロインは美咲の中の人。当時、田島版「星の金貨」を見たいという声がすくなからず上がってたのを覚えています。

それと世紀末をはさんだ前後5年程、なぜか良質なTV時代劇が復活した時期がありました。なかでも最良の作品のひとつが神山由美子脚本による「人情しぐれ町」。今日、ビデオを引っぱりだして改めて見ました。第5話「約束」で美咲の中の人が最後に全部持っていきました。

わたしの中では、太い芯が感じられる役を演ずることができる俳優という印象です。こうなったら、もうすこし、まっ白いままでいて、また泣かせてください。