野ブタ。をプロデュース -再考-

修二の性格付けから始まっている。メロン争奪戦に参加せず。わがままを言ったことがない。ふりかえると、”どっちも選べないってことは、どっちも好きじゃない”、”誕生日を祝われることもケーキも嫌い”と言っている。そして、映像の”あきろめろ(母)”

母のいない家庭で育つ。母がいない、ためにあきらめることを身につける。好きなものがあっても好きではないのだと。好きなものはないのだと。やがて、人付き合いがいい修二、人気者の修二という“殻”をつくりあげる

あきらめることが、修二が自分自身に課したテーマ。それゆえ、「あきらめる、あきらめない」、つまり修二自身のテーマを取材のテーマに選ぶ。

信子が修二を引き入れた目的は、修二を放送部に引き入れ、また三人で活動したいから。
でも、偶然に、修二の取材テープに、これまで見たことがない修二の感性をみいだす。信子は修二の映像の意味を解説する

見るたびに、好きになる。 
これ、人しか映ってないんだよ。 
知ってた? 
好きなものって、人なんだよ。 
面白いよね。冷たそうに見えるのに、人が好きだなんて。 
きっと、周りの人を、ものすごく大事にする人なんだね。 
そのために嘘をついたり、すごい我慢したりしてるのが、
これ見てるとよくわかる。 

外側は冷たそう。(信子は寒がりの雪女。冷たいのはいや。でも信頼はしている。)内側は、人が好き。周りの人を、ものすごく大事にする。そのために(自分に)嘘をついたり、すごい我慢する。

不機嫌そうな彰に気遣って編集を断念。残りは翌日まわし。おそらく早朝作業。彰の“あきらめきれないの”の前後を見ることになる。

編集テープを抱きしめる姿は伏線。編集テープ=信子がみつけた本当の修二。彰が捨てようとしたのは、人気者という殻の内側。むきだしの修二。ほんとうは傷つきやすい、むきだしの修二の心。修二の机をみつめる信子。そして氷を抱きしめて走っていた姿も伏線。

わが子を抱くようにテープを奪い取り抱く。なにしてんだ、これはお前の親友のエッセンスなんだぞ。むきだしのお前の親友の心なんだぞ、ゴラァ、と腰の入ったストレート。

編集テープが破壊された。編集テープが破壊されたことは、むきだしの無防備な修二が傷つけられたという意味。信子のせい。修二が傷つけられたのは信子のせい。守りきれなかったのは信子のせい。だから、涙ぐむ。だから、ごめんと謝罪する。

公園で見つけた修二。傷ついた修二の姿。傷ついた編集テープのイメージ。

修二「まり子に酷いこといっちゃった。明日から憎まれるんだろうな」

信子のせい?だね。信子がまり子の疑惑の根源。信子の存在がまり子を傷つけたことで、修二自身も傷ついてしまっている。破壊された編集テープが重なる。修二が傷ついたのは信子のせい、信子のせいで修二が傷ついた。おもわず抱きしめてしまう。

修二を抱きしめる信子。氷を抱きしめて走っていた信子の姿は雪女のメタファ。雪女が修二を抱きしめるの図。抱きしめている修二は普段の冷たい修二ではない。凍えさせてしまわないか。雪女が人を抱きしめていてはいけない。凍えさせてしまう。だから、ごめん。

早足で立ち去る。橋の中ほどを早足で過ぎ止まる。信子は心臓の鼓動の意味を探している。

・・・うう、脚本にわたしの感性が追いつかないっす(汗)


小泉八雲の雪女にはくっつくほど近くに顔を寄せて見るくせがあるようです。さらに、十人の子供を作ったとあります。「野ブタ・」10話完結はここからとっているんでしょうか(^^)