野ブタ。をプロデュース -秋のおわり 冬のはじまり-

今回、それぞれの恋愛関係がはっきりしました。そして、ドラマの季節は秋の終わり。四人ともマフラーをしています。冬という季節がはじまります。

  「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」

俵万智さんの代表作です。この歌には仕掛けがあって、七(シチ)とサラダのS音の重なりという清涼感が初夏を、七夕の前日が恋人たちの予感を、そして、七月六日には芭蕉の元歌があって七月というのは旧暦の七月で。だから季節は秋で、その秋を恋の季節ととらえているんだそうです。つまり、初夏と秋のふたつの季節から、それぞれ恋人たちの予感と恋とを読み込んだ歌なのだそうです。

つまり、ドラマの秋のおわりというのは、秋という恋の季節のおわりに、やっとのことで間に合った四人の恋人たちの“恋”を象徴しているような気がしてなりません。

    厳冬

  樹木が余分なものを
  捨てる季節
  樹木が孤独に輝く
  季節
  樹木が黙って根を張る
  季節
  そして一年の中で
  樹木が最も充実する
  季節
     (相田みつお)

そして、冬のはじまりです。いやがおうでもドラマのクライマックスを予感せずにいられませんね。


信子は氷を胸に抱きしめて走っていました。まるで抱きしめていないと氷が溶けてしまうかのようです。ふつうは逆ですよね(笑)。さらに、校舎の屋上で破壊された編集テープを握って涙ぐんではいましたが、涙を流していませんでした。これらは雪女のメタファです。

なのに、信子はいつも毛糸のチョッキを制服の中に着込んでいます。今回からは、マフラーに手袋まで装備しました。ひょっとすると、ソックスも二重にはいているのかも。信子は雪女の中でもかなり寒がりのほうの雪女です。たぶん。

小泉八雲の「雪女」は、物語の最後でひとり立ち去ることになります。雪女のメタファは、信子がでひとり立ち去る、つまり転校してゆく結末を暗示しているのでしょうか。

気になっているのが、修二の「お前はキタキツネか」というセリフです。彰の妄想の中の信子もコンコンの仕草をするし、修二もコンコンいいだしました。彰は北海道にいってキタキツネになるんでしょうか。なぜかというと、そこに人がいるから。

  「寒いね」と話かければ「コンコン」と答える人のいるあたたかさ

オリジナルは“「寒いね」と話かければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ”(俵万智)です

なんか暴走してきました(汗)