野ブタ。をプロデュース -第6話 雨、家出-

第6話は、雨で始まりました。なにかの前振りなのでしょうか。同じように雨で始まった第2話は、呪いの人形のお話でした。なるなる。第6話も人形の話でしたね。ノブタ人形・・・ノブタ人形・・・。はっと気付きました。第2話の呪いの人形は、じつは“(髪が)ノブタ人形”だったのねぇぇぇぇ。

誰かの宝物になったり、誰かの願いをかなえる力になったり、唯一犠牲になった文ちゃんはお気の毒。ノブタ人形の呪力、おそるべしです(笑)



“家出”も前振りみたいですね。もちろん“タイヤキ”に掛かります。日本人ならだれでも知っている家出したタイヤキの話。おなかがアンコで重い有名なタイヤキの話です。


いきなり家を継げと言い出した彰パパ。ずっといっしょに仕事してきた仲間をリストラしなければならない。ぼっかりと心に空いた穴。心の穴を彰で埋めようとしたんです。彰はいきなりの話でびっくり。で、反発して親子喧嘩。“(とうちゃんに)負けたくない”一心が、彰が空手を修行した動機だったのですね。

ただ、彰パパが家出したエピソードに触れて、父の気持ちに“熱さ”を感じたのも確からしい。「道端の十円玉でいろ」といわれ、すなおに進路表に「道端の十円玉」と書く。もう彰パパへの反発はないようです。これは、彰が彰パパを受け入れたという意味ですね。いずれ、彰は彰パパの跡を継ぐことでしょう。


タイヤキの頭を食べるとしあわせを感じると言う彰。タイヤキの頭を食べるとしあわせを感じないかと問う彰。修二は「別に」と答えるし、信子も「普通」と答える。子供の頃の思い出のシーン。

でも、彰がタイヤキの頭を食べたとき、二回とも信子が隣にいました。彰がしあわせと感じたのは、タイヤキの頭にだったのでしょうか、それとも、隣にいる信子にだったのでしょうか。

子供の頃、彰パパにもらったタイヤキの頭。アンコがたくさん入っている方です。アンコは何を意味するか言うまでもないですね。信子は“ともだち”ができたと嬉々として彰に伝え、同時に、アンコがたくさん入った方を彰にくれました。

彰は“さびしい”と信子に告げます。タイヤキの頭の方をくれたけど、信子の頭が、彰の方ではなく、“ともだち”の方を向いているような気がしたからだと思います。

信子は「わたしたち、次にいかなきゃ」といいました。“わたしたち”。三人対等の言い方です。ボールを受けるだけの信子ではなくなっているようです。そして、“次にいかなきゃ”って、うわー、前向きの信子です。

今回、信子は、しあわせとアンコと心の空隙の三つを彰にくれました。同時に、信子は歩きはじめたようです。

ずっといっしょの仲間がいなくなる。彰パパの心情ととてもよく似ています。彰パパは彰で心の空隙を埋めようとしました。でも彰の心は信子でないと埋めることができないのです。

彰にできることは、とりあえず信子を追うこと。そして、信子のくれたアンコの意味を確かめたいということです。

絶妙の脚本ですね。パチパチ