野ブタ。をプロデュース -犯人像-

信子の制服にブスと書きお化け屋敷のセットを破壊した犯人をA子とする。

(a) 教頭が信子に話していたとおり、気にくわない相手をメチャクチャにしてやりたいと頭の中で考えるのは自由。しかし、考えることと行動にうつすこととの間には、絶対的な違いがある。A子は“いじめを実行できる”資質を持った人物である。

(b) 正体を隠したまま“器物破損”に及ぶという犯行手口である。坂東の手口は直接暴行に及ぶという手口でA子の手口とは異質である。

(c) 単独で正体を隠したま犯行に及ぶ“陰湿さ”も特徴的である。坂東は取り巻きと連れて犯行に及ぶ

(d) 犯行動機として信子に対する直接的な“強い怨恨”が感じられる。父親や修二を盗られたとかいう間接的な動機が、制服の落書きはまだしも、お化け屋敷のセットを破壊するエネルギー足りえるか。もっと、直接的な信子への怨恨がA子を突き動かしているようである。つまり、信子よって何らかの不利益(害悪)を与えられた人物である。

(e) アリバイを考慮するとクラスメートの可能性はない。体育の授業を休んでいた人物がいたなら、真っ先にその人物に疑いがかけられる。したがって、A子が坂東の可能性はなく“他のクラス”に求められる。

整理すると、A子={いじめっこ、器物破損、陰湿な性格、強い怨恨、他のクラス}となるが、このような人物がドラマに登場しているだろうか。・・・いる。小学校2年のとき、コタニ→ダニと書き換えた人物が{いじめっこ、器物破損}に該当する。この人物をB子とする。

ならば、信子をいじめる側にいたはずのB子が、動機たる{強い怨恨}を信子に対して持ちえるのだろうか。B子が信子を強く恨む理由はあるのだろうか。信子がB子を恨むのなら自然なのだが・・・。

このドラマは“いじめ”をモチーフとしたドラマである。怨みの理由として信子のあずかり知らぬところでの“いじめ”の変化形が存在していてもよい。

「あのころのいじめが一番きつかった」という信子の証言がある。“いじめ”というのはエスカレートはすれ緩むものなのだろうか。当時の信子に何かが起こったのではないか。“信子の転校”という可能性はないだろうか。信子は高校2年次に転入してきたくらいである。可能性はある。

いじめの輪から、いじめの対象だった信子がいきなり抜けてしまう。B子はそのいじめの手口において陰湿である。行き場を失ったいじめの矛先が陰湿な性格のB子に向いた可能性がある。そのようなことになっていたならB子は信子を恨まないだろうか。“もし、信子が転校しなかったら”と、逆恨みである。

B子への“いじめ”は中学校時代にまで及んだかもしれない。B子は信子が転校してきたことを壁新聞で知る。めらと燃える信子への恨み。信子がB子にいじめられたという過去を暴露するかもしれない。信子を追い出したい。さらには、信子をいじめていれば、自分(B子)はいじめられない、という心理も働かないだろうか。

まり子は信子と一緒に壁新聞用の写真に写った。信子とまり子が顔見知りだった様子はない。まり子が信子を恨みに思うタイミングもない。したがって、B子が存在するならば、まり子ではない別の人物である。そして、B子=A子である可能性は高い。

つまり、犯人は信子にとって旧知の人物である可能性が高い(怖)